クッパpresents 『我が青春~俺が愛し、愛された3DO~』 第3話

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【第3話】このゲーム機実写しか無いのでは?

~前回までのあらすじ~
おじいちゃんが持ってきたゲーム機は人殺しのインド人が暴れまわる機械だった。

さて、3DOと唯一のソフトである『ウェイ・オブ・ザ・ウォリアー』との奇妙な生活が始まったクッパ家だが、俺はもちろん一切プレイせず。だって怖いもん。

親父が「お父さんとバーチャファイターやろか!」と3DOを持ち出して兄とプレイしていたのを尻目に、襖を閉めてスーパードンキーコングに勤しむ日々だった。ゴリラ可愛い。

と言うよりだ、『バーチャファイター』と『ウェイ・オブ・ザ・ウォリアー』を一緒くたにするのはセガに対して凄い失礼だと思うぞ、親父。(ゲームは全部「ファミコン」と言う中年独特のアレ)

そんな状態を見兼ねてなのか、ウェイ(略)が明らかに青少年の教育上よろしくないゲームだと気付いたのかは謎だが、親父とオカンが「3DOのゲームを買いに日本橋へ行こう!」と言い出した。救いの神と言うのは案外近場に居るものだ。

小学生にとって日本橋なんてのは既に魔界に等しい未知の領域。
この頃は今ほど萌え文化も無かったのでゲームと電気の街だった。それでもエロゲの広告をチラチラ見るぐらいには堂々としてたが。

そしてゲーム屋へとやってきた。
頭の中にはスパ2Xしか無かったが3DO唯一の高額ソフトだったのでもちろん却下され、第二案のサムライスピリッツはスーファミ版持ってるだろって事で却下された。

ちゃうねん!!スーファミのより移植度高いしこっちは天草使えないから平和な世界やねん!!

もちろんこんな叫びが届くわけなかった。ゲーマーでは無い母親を恨む。

仕方なしにソフトを見ていると、ふと目に飛び込んで来たのがあった。

『ジュラシックパーク・インタラクティブ』

小学生当時の俺はこの映画が大好きだった。恐竜が現代に蘇るストーリーと、映像美・・・これしかない!!と思った俺はすぐにパッケージの裏を確認した。

「全年齢対象」

よし!!いける!!死なない!!!!!

このソフトにするー!!と笑顔で持って行った。価格は確か500円ぐらいだったと思う。即決でOKが出た。と言うより、3DOはスパ2X以外全部ワゴンだったのだ。

ついでだって事でオカンはかなりの数のソフトを買ってくれた。

・クラッシュバーン
・鉄人
・ウルトラマンパワード
・Dの食卓
・三国志4
・なんかサッカーのやつ

あとはオカンが「これは面白いやつに違いない!」って渡してくれた「チキチキマシン猛レース」ね。

…これが全ての引き金だったのはその時知る由も無かった。

ここいらに並んだソフトは特に思い出も無いので番外編とかのスペース貰えれば書きます。
クッパ家に伝わる「ゴモラが動く事件」や「お父さんを殺せる訳無いやろ事件」や「実写のイナゴが夢に出てくる事件」等は需要があるとは思えないが。

さて、帰宅後、すぐにパッケージを開封して『ジュラシックパーク・インタラクティブ』をセットし、起動する。
気分はもうジュラシックパークで恐竜と戯れる無邪気な少年そのものである。果てしなく長いロードも全然気にならない。

そして始まるオープニング…有名な主題曲と共に流れる実写映像をこれでもかと使ったムービー……。

………また実写?このゲーム機実写しか無いのでは?
まぁいい、後はCGで描かれた世界で恐竜と戯れるだけのゲームだから。

えーと、何々…「あなたの目的はパーク中に散らばってしまった生存者達(映画の主要キャラ達)を誘導し、恐竜の手から逃れ、パークから脱出する事です。」

あれ、何か思ってたのと違うぞ。

「逃げ込んだ先には恐竜達が待ち構えて居るので、あなたは生存者と協力し、恐竜を撃退してください」

ふむふむ……で、内容はというと、

・スピッターシュート:画面に沸いてくるスピッターを操作性最悪のスタンガンで撃って撃退してください。失敗すると食い殺されます(ムービー付き)。

・ラプトルメイズ:ラプトルが蔓延る迷路から脱出してください。初代バイオの数百倍動かしにくいですが頑張ってください。ラプトルに接触すると食い殺されます(ムービー付き)。

・レックスチェイス:T-REXからまともに動いてくれない車で逃げてください。失敗すると踏みつぶされて圧死します(ムービー付き)。

畜生!!また実写の人が死にまくるゲームじゃねぇか!!!!ハメられた!!!!!

難易度が極悪な上に操作性が最悪な事もあり、バタバタ死にまくる生存者。
映画では最後まで助かったハズの双子やマルコム教授も初手でラプトルの胃袋に移住する事になってしまった。
と言うか、ラプトルメイズの怖さが半端無く、未だに軽くトラウマレベルだったりする。

薄暗い部屋にいきなり現れ、無機質に歩いてくる粗いドットのラプトルは子供にとって恐怖でしか無かった。実際軽く漏らした。
そのせいか、次のミニゲームはラプトルメイズだよ!と言われると、その生存者は放置確定になり、実質詰んだ状態になっていた。

そんなこんなで、デブのネドリーだけ避難場所のすぐ近くに居た上に比較的簡単にクリア出来るレックスチェイスだったお陰で生存しました。世界一助けたくないヒロインだな。

残りはみんなスピッターに食われたかラプトルメイズの傍で三角座りしている状態。すまんな、君達の命はここまでだ。

いざ脱出しようとすると、パスコードの入力が必要だと言われる。おぉ!映画のワンシーンだな!?ネドリーがロックを掛けているせいでパスがわからず立ち往生する名シーン!!原作ではネドリーが勝手に逃げたせいでわからなかったからなぁ……ネドリーさえ居ればなぁ………

…ん?ネドリー?いや、お前居るだろ!?開けろよ!!!!

結局ホントに役立たずなデブを尻目にパスの解除を頑張る。パスの解除方法はインベーダーゲームやらタイムパイロットやらの往年の名作をとことんダメにしたミニゲームをひたすらクリアすると言ったもの。苦痛でしかない。

苦行とも言える時間を過ごし、遂には全てのロックを解除し、脱出出来るように!!
やったなデブ!!俺達帰れるぞ!!

「パークにはまだ救助を待っている人が居る。皆を集めないと!!」

皆はこの穢れた世界から恐竜の胃袋に脱出する事に成功し、俺とデブだけが穢れた世界に旅立ちました(要訳:デブ以外皆死んだ)。

一通りプレイした感想としては、「オカンは何でこんなゴミばかり買ってスパ2X買ってくれなかったんだろう」だった。
全部足したらスパ2Xより高かったぞコレ。

やるゲームやるゲーム全てが実写か人が死ぬ殺人機械と化した3DO。
俺はこいつの事をもう到底愛せない体になっていた。

もうこんな物…!!こんな物なんて……!!

そう思っていた俺がまだ遊んでなかったソフトがあった事を思い出した。

…今度こそ実写では無い、更には誰も死ぬことが無い平和なソフト……
…最後に買ってもらったものは全部やらないと、失礼だからな。
そう思って俺は本体にソフトをセットした。

そのソフトが『チキチキマシン猛レース』だったんだ。

 

~続く~

著者・クッパ

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